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犬が陰部を舐めて赤いのはなぜ?夏に増える理由と、獣医が診断名を言わない理由

更新: 2026年8月12日17分で読める
ベージュのソファの上で横向きに寝転がり、前足を前に伸ばしてこちらへ顔を向けている、巻き毛のキャバプーの茶々丸

茶々丸(キャバプーの女の子、9kg)が、外陰部を舐めるようになりました。一週間ほど前から、なんとなく舐めているな、とは思っていました。犬はよく自分を舐めるものなので、私は気にしていませんでした。

ようやくきちんと見たのは、一週間たってからです。赤くなっていました。ぷっくりとして、いかにも痒そうでした。

犬が外陰部を舐めて赤くなる背景には、外陰部まわりの皮膚炎、膣炎、尿路感染症、アレルギーがあり、見た目だけでは絞れません。 湿気のこもりやすい皮膚のヒダは、そのいくつかに共通する舞台になります。

この記事は、薬用シャンプーの泡を茶々丸の下半身に乗せて十分間を待つあいだに、一次資料に当たった記録です。まだ治っていません。結末を知らないまま書いています。

(2026-08-12 追記: その後の経過を記事の末尾に書き足しました。本文は執筆時のまま残してあります。)

免責: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師による診断・治療の代わりになるものではありません。愛犬の皮膚や排尿に異変がある場合は、自己判断せず、かかりつけの獣医師にご相談ください。

犬が陰部を舐めて赤いとき、何が起きている?

私がまず知りたかったのは、そこに何がいるのかでした。結論から言うと、最初からいました。

マラセチアという酵母は、健康な犬の皮膚と粘膜にふつうに棲んでいます。悪者が外から侵入してきた、という話ではありませんでした。Guillot と Bond の2020年の総説には、こんな言い方が出てきます。

理想的には、常在菌としてのマラセチア酵母は「良き市民」としてふるまい、表皮角層と毛包漏斗部の「移行マントル帯」という自らの生態的地位に収まっている。

— Guillot & Bond, Frontiers in Cellular and Infection Microbiology, 2020(拙訳)

良き市民という言葉で、私はずいぶん気が楽になりました。茶々丸の皮膚にはもともと住人がいて、ふだんは静かに暮らしています。病気というのは、その住人が増えすぎて騒ぎ出した状態のことでした。

騒ぎ出す引き金は、犬の側にあります。世界獣医皮膚科学会(WAVD)の臨床コンセンサスガイドラインは、マラセチア皮膚炎の犬はしばしば併発する過敏症、角化異常、あるいは内分泌疾患を持っている、としています。つまり酵母は結果であって、しばしば原因ではありません。

ただし、外陰部の赤みの容疑者は酵母だけではありません。私が並べた候補は4つでした。

  • 外陰部まわりの皮膚炎 — 皮膚のヒダに湿気・尿・汚れがこもって起きる
  • 膣炎 — Merck Veterinary Manual によれば、成犬期の膣炎は初回発情の後に現れ、通常は避妊済みのメスに起こる
  • 尿路感染症 — 排尿の変化を伴う。皮膚のケアでは治らない
  • アレルギー性皮膚炎 — 会陰部はそもそも好発部位のひとつ

最後の1つは、私にとって意外でした。犬のアトピー性皮膚炎の国際委員会(ICADA)の診断ガイドラインには、病変の分布がこう書かれています。

顔、耳介の凹面、腹側、腋窩、鼠径部、会陰部、四肢遠位が最も多く侵される。

— Hensel ほか, BMC Veterinary Research, 2015(拙訳)

会陰部は、リストの中に並んでいました。痒がっているのがそこだけなのか、体じゅうなのか、私は見分けていませんでした。

私がいちばん怖がったもの

私が真っ先に想像したのは、尿路感染症でした。

VCA Animal Hospitals は、外陰部が皮膚のヒダに覆われている犬では、ヒダの中の細菌が膣や尿路へ移動して膣炎や尿路感染症につながりうる、と説明しています。皮膚の問題が、皮膚で終わらないことがあります。

私は茶々丸の排尿を見ていました。回数も量もいつも通りでした。踏ん張って出ない様子も、痛がる声もなく、色もおかしくありません。分泌物も匂いもありませんでした。

症状は、赤みと舐める行動だけでした。この「だけ」を確かめたことには意味がありました。獣医師に渡せる情報が増えたからです。

ただし、消えたわけではありません。VCA Animal Hospitals は、外陰部が埋もれている犬では眠っているあいだに尿がもれることがあるとし、さらに、こうした感染がヒダの炎症に加えて起こることも、感染だけが唯一の臨床サインであることもある、としています。日中の排尿がいつも通りに見えても、それだけで否定はできません。私にできたのは、急ぎ度を一段下げることまででした。

なぜ夏に増えるのか?

私には、最初から素朴な勘がありました。これは夏の病気ではないのか。

文献は、慎重な言い方でそうだと答えています。

犬で特に研究されたわけではないが、マラセチア皮膚炎が熱帯気候において、また、より温帯の緯度では暖かく湿った月において多いことは、一般に認識されている。

— Guillot & Bond, Frontiers in Cellular and Infection Microbiology, 2020(拙訳)

冒頭に「犬で特に研究されたわけではないが」という但し書きが付いています。犬を対象にした専門研究があるわけではない、というのが原典の立場です。そのうえで、一般に認識されている、と書いてあります。言えるのは、そこまでです。

そして、日本の夏はこの記述によく当てはまります。

気象庁の平年値(1991〜2020年)によると、千葉の月平均湿度は1月が53%、7月は78%です。8月は77%で、平均気温は27.1℃です。冬と夏で、湿度が25ポイント動いています。

暖かく湿った月というのは、私が住んでいる場所の、まさに今のことです。

湿度という数字を、私は犬の熱中症、散歩は何度まで?で一度きちんと扱っていました。あのときは、犬が体温を逃がせるかどうかの話でした。同じ数字が、皮膚の上の住人の話にもつながっていました。

皮膚のヒダで、何が起きているのか

もうひとつ、重要な記述があります。

皮膚のヒダは、マラセチアや細菌の過剰増殖を助ける重要な局所因子であることが多い。これはおそらく、空気の流れの減少、皮膚温と湿度の上昇、分泌物の滞留、表面の摩擦による損傷といった要因を含む、局所的な気候の違いを反映している。

— Guillot & Bond, Frontiers in Cellular and Infection Microbiology, 2020(拙訳)

空気の流れが減り、皮膚の温度と湿度が上がり、分泌物が溜まり、表面がこすれます。

これを読んで、私は茶々丸の外陰部を思い出しました。あの子のそこは周りの皮膚に少し埋もれ気味で、ヒダがあります。体の外が夏なだけでなく、ヒダの中にも蒸れた場所ができていたことになります。

WAVD のガイドラインは、マラセチア皮膚炎の犬で好まれる部位として間擦部、つまり皮膚と皮膚が擦れ合う場所を挙げています。そして高リスクの犬種の一覧に、プードルが入っていました。

茶々丸は、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルとトイプードルの、キャバプーです。あの子の血の半分は、その一覧に載っている犬種のものです。

なぜ獣医は、診断名を言わなかったのか?

病院から帰ってきたとき、私の手にはシャンプーが1本ありました。マラセブという、犬のマラセチア皮膚炎に使う動物用医薬品です。そして、診断名はありませんでした。

私は少し物足りなく感じました。何々炎です、と言ってもらえれば、敵の名前を知って帰れます。それがないまま、シャンプーだけ持たされて、私は玄関で少し途方に暮れました。

その気持ちは、ガイドラインを読んで収まりました。

部位ごとの菌数は異なる。したがって、その病変過程におけるマラセチアの役割を確定するには、試験的治療が必要である。

— WAVD 臨床コンセンサスガイドライン要約(Bond ほか, 2020)(拙訳)

論理はこうです。マラセチアは健康な犬にもいて、数は場所によって違います。だから顕微鏡で見つけたところで、「いたから犯人だ」とは言えません。犯人かどうかを決める方法は、減らしてみて良くなるかどうかを見ることだけです。治療そのものが、検査でした。

WAVD の診断フローも、そうなっています。臨床サインが合致すれば細胞診などを行い、該当すれば治療を開始し、適切な外用治療への反応を3〜4週間かけて評価します。そこで完全に良くなったなら、次は「なぜ増えたのか」という下地を考える段階に進むわけです。菌のほうは完全に消えたのに見た目が部分的にしか良くならないなら、下地の病気を調べます。

つまりあの獣医師は、名前を出し惜しみしたのではなく、まだ名前が確定していない段階を、正直に扱っていたのだと思います。ガイドラインの順番どおりです。

私が欲しかった「病名」は、しばしば3〜4週間あとにやってきます。

なお、ガイドラインはルーチンの培養検査について、定性的な情報を与えるにとどまるとしています。培養に出せばはっきりする、というものでもないわけです。

薬用シャンプーは、なぜ10分なのか?

私が処方されたマラセブは、キリカン洋行が公開している製品情報によると、ミコナゾール硝酸塩2%とクロルヘキシジングルコン酸塩2%を含む、犬のマラセチア皮膚炎のための動物用医薬品です。

この組成が、WAVD のガイドラインで治療の筆頭に挙がっていました。2%ミコナゾール+2%クロルヘキシジンのシャンプーを週2回、エビデンスの強さは strong。治療の選択肢が並ぶ中で strong と書かれているのは、この1行だけです。3%クロルヘキシジン単剤は moderate。内服ではケトコナゾールとイトラコナゾールが moderate で、フルコナゾールは単一の研究しかなくさらなる裏づけが要るとされ、テルビナフィンはその用量では部分的な効果にとどまる、と書かれています。

強い順に並べ替えると、いちばん上にあったのは風呂場で使うシャンプーでした。

つまり私が手渡された1本は、国際的なコンセンサスが最も強いエビデンスを認めた組成そのものだったわけです。それを私は、玄関で物足りなく思っていました。

もっとも、同じ組成の1本が私の犬に効くかどうかは、ここまでの話とはまた別です。効くかどうかを決めるのは、これから始まる3〜4週間のほうでした。

問題は、使い方でした。米国の MALASEB のラベルには、こう書かれています。被毛を水で十分に濡らし、全身に泡立てて10分間の接触時間をとり、水で完全にすすぐ。

薬用シャンプーは、洗剤ではなく、皮膚の上に薬を10分間置いておくための道具でした。泡立ててすぐ流すと、有効成分が働く時間はほとんど残りません。私がふだんやっているのは、その洗い方です。

私は10分置きなさいと言われていたので、そのとおりにしています。風呂場で濡れた犬と二人きりの十分間は、なかなか長く感じます。

この十分間は、私が「ちゃんとやった」と思うためのものではなく、あの子の皮膚の上で薬が働くための時間です。

なお、日本で流通する製品の用法・用量や使用間隔は、製品ごとに定められています。具体的な洗い方と頻度は、添付文書と処方した獣医師の指示に従ってください。ここに書いたのは、私が受け取った指示と、公開されている製品ラベルの記載であって、あなたの犬への処方ではありません。

どこからが動物病院?

私が観察の軸にしたものを、そのまま置いておきます。判断は獣医師のものですが、何を見て伝えるかは、飼い主の仕事です。

見るもの様子見の範囲受診を急ぐ側
舐める頻度ときどき舐める程度執拗に舐め続ける、寝ている時間が減る
見た目軽い赤みただれ、腫れ、出血、毛が抜ける
分泌物なし黄色・緑がかったもの、量が増える
匂いなし生臭い、酸っぱい匂いがする
排尿いつも通り回数が増えた、痛がる、色が濃い・濁る・血が混じる
全身元気・食欲あり発熱、元気がない、水を異常に飲む

Merck Veterinary Manual は、臨床症状がごく軽い犬では膣炎の治療は必要ないとしつつ、その部位は清潔に保つべきだとしています。軽ければ何もしなくていい、ではなく、軽ければ手入れで足りることがある、という書き方です。

そして、排尿の変化だけは別扱いにしてください。皮膚のケアをいくら丁寧にやっても、尿路の感染は良くなりません。

期間の目安は、もう少し手前にもあります。マラセブの製品情報は、2週間使用しても症状の改善が見られない場合は獣医師に相談するよう案内しています。私のほうは、まだ洗いはじめたばかりです。

適切な外用治療を3〜4週間続けても反応がないときも、再受診の合図です。WAVD のフローは、臨床的にも菌学的にも反応がない場合、薬の吸収や代謝の異常、あるいは薬剤耐性を考えて治療を変更し、評価をやり直すよう示しています。臨床的に良くならないのに菌学的には反応している場合は、マラセチアが他の炎症性疾患に付随して見つかっただけ、という可能性を考えます。「効かないまま続ける」は、どの枝にも入っていません。

どうしたら防げたのか?

ここが、私がいちばん考えたところです。

WAVD の予防の項は、こう始まります。素因をコントロールすること。それが不可能な場合は、局所的な予防を推奨する。

以降には、局所予防の中身(治療と同じ2%ミコナゾール+2%クロルヘキシジンのシャンプーを週2回、3%クロルヘキシジンは moderate)や、再発性の外耳炎への対応、イトラコナゾールのパルス療法が続きます。けれど、飼い主の私に手が届くのは、最初の2行のほうでした。

素因とは、酵母が増えやすい下地のことです。私の手の届く範囲で、下地はこれだけありました。

ヒダを乾かすこと

私の犬のそこは、皮膚に埋もれ気味です。VCA Animal Hospitals によれば、外陰部が周囲の皮膚のヒダに部分的に隠れている状態は、湿気や尿や汚れをヒダの中に閉じ込め、ヒダの炎症と感染につながります。

だから、濡れたら乾かします。シャンプーのあと、雨の散歩のあと、水遊びのあと。体はタオルで拭くのに、あの子の後ろ足の付け根の奥まで気にしたことが、私にはありませんでした。

しかも夏は湿度が高く、放っておいても乾きません。

体重を減らせば、ヒダは小さくなる

VCA は、太り気味の犬では減量が有益だとしています。外陰部のまわりの皮膚のヒダが、小さくなるからです。

体重管理が皮膚の話につながるとは、私は思っていませんでした。散歩の量や関節の話だと思っていました。犬のBCS(ボディコンディションスコア)完全ガイドに書いた月1回の体型チェックは、こんなところにも効いていたわけです。

舐め始めた日に、見ること

私は一週間、「なんとなく舐めているな」で済ませました。そのあいだ、あの子は舐め続けていました。舐めれば濡れます。濡れた場所は乾きません。乾かない場所では、菌がよく育ちます。

Guillot と Bond が挙げた要因のうち、「表面の摩擦による損傷」の担い手は、あの子の舌でした。痒いから舐めて、舐めるから治りません。私が一週間見ていたのは、その繰り返しです。

早期発見という言葉は退屈ですが、ここでは、この繰り返しが始まる前に止めるという具体的な意味を持っています。

下地そのものが病気であることもある

最後に、私にはどうにもならない話も書いておきます。

WAVD は、マラセチア皮膚炎の犬にはしばしば併発する過敏症疾患があるとしています。ICADA がまとめた Favrot の基準(セット1)は、犬アトピー性皮膚炎を疑う項目を8つ挙げていて、その中に「発症年齢が3歳未満」と「慢性または反復性の酵母感染」が並んでいます。8項目のうち5項目を満たす場合、感度は85.4%、特異度は79.1%と報告されています。

ただし原典は、これらの基準を単独の「診断テスト」として使ってはならない、とはっきり書いています。私が数えたところで、それは診断ではありません。

発症したとき、茶々丸は2歳でした。酵母を疑われたのは、今回が初めてです。

反復するかどうかは、これから分かることです。もし来年の夏も同じことが起きるなら、それは「夏だから」ではなく、もっと下の層の話かもしれません。そのときは、シャンプーの話ではなく、痒みそのものの話をしに病院へ行こうと思っています。

なお VCA は、症状の重い犬や、内科的な治療に反応しない犬では、外科的にヒダの形を整える手術(外陰部形成術)が選択肢になるとしています。私はまだ、そこまでの段階にはいません。

まとめ

犬が陰部を舐めて赤くなるとき、そこにいるのは、たいてい元から住んでいた住人でした。増えすぎた理由のほうが本題で、日本の夏の湿度と、蒸れやすい皮膚のヒダが、その理由をよく説明してくれます。

診断名がもらえなかったのは、獣医師が手を抜いたからではありませんでした。マラセチアは常在菌なので、いるかいないかでは決着がつきません。減らして良くなるかを見る試験的治療そのものが、国際コンセンサスの定めた検査手順でした。私が欲しかった名前は、3〜4週間先にあります。

そして薬用シャンプーは、洗うための道具ではなく、10分間そこに薬を置いておくための道具でした。

防げたか、と聞かれたら、たぶん、いくらかは防げました。散歩のあとにあの子の後ろ足の付け根を拭くこと。月に1回、体型と一緒にそこを見ること。「なんとなく舐めているな」と思った日に、その場でめくって見ること。どれも大した手間ではありませんが、私は一週間、どれもしませんでした。

赤みが引いたかどうかは、まだ分かりません。続きが分かるのは、三週間後です。

追記(2026-08-12): 12日目の途中経過

ここから下は、記事を公開した12日後に書き足しています。上の本文は、そのときのまま残してあります。

初回のシャンプーは7月31日、この記事を公開した日でした。獣医師の指示は、毎日洗うことでした。本文に書いたとおり、WAVD が strong と格付けしているのは週2回のシャンプーです。私が受け取った指示は、それより頻回でした。どちらが正しいという話ではなく、目の前の皮膚を見た獣医師が決めることなのだと思います。

赤みが引いたのは、4日目の8月4日です。三週間かかるものと覚悟していたので、拍子抜けしました。ただし、これはうちの1匹に起きたことにすぎません。

いちばんはっきり変わったのは、見た目より行動のほうでした。それまであの子は、散歩の途中で急に立ち止まって舐めることがありました。それがなくなりました。排尿のあとに舐めるのは今もありますが、あれは前からやっていたことです。

今日で12日目になります。赤みが引いてからはシャンプーを週1回程度に落として、続けています。獣医師には経過を報告していません。痒がる様子や異常が出たら来てください、というのが指示だったからです。

回数を落としたのは私の自己判断で、獣医師に確認した結果ではありません。頻度を変える判断は、かかりつけの獣医師に相談してください。

ただ、WAVD が反応の評価にあてているのは3〜4週間です。私はまだ、その途中にいます。早く引いたからといって、それが他の犬にも当てはまるとは限りません。軽いほうだったのだろうと私は思っていますが、それも確かめてもらったわけではありません。

診断名は、結局まだ誰の口からも出ていません。

SiPPO Friends のデイリーケア記録には、その日の様子を残せます。いつから舐め始めたのか、シャンプーを何日にやったのか、赤みは何日目に引いたのか。私は今回、「一週間くらい前から、なんとなく」としか獣医師に言えませんでした。次はもう少しましな報告ができるように、今日から数えることにしています。健康管理の記録は獣医レポートとしてまとめて持っていけますから、記憶より正直な話ができるはずです。

しっぽが、まちを変える。その前に、まず、うちの子の体です。

よくある質問

犬が陰部を舐めて赤いのはなぜですか?
外陰部のまわりの皮膚炎、膣炎、尿路感染症、アレルギー性皮膚炎などが考えられます。VCA Animal Hospitals は、外陰部が皮膚のヒダに覆われている犬では湿気・尿・汚れがヒダに閉じ込められ、ヒダの炎症や感染につながると説明しています。原因によって対処が変わるため、自己判断せず動物病院で診てもらってください。
犬の外陰部トラブルは夏に増えますか?
マラセチアによる皮膚炎については、そう考えられています。Guillot と Bond の2020年の総説は、犬で専門的に研究されたわけではないと断ったうえで、マラセチア皮膚炎は熱帯気候で、また温帯地域では暖かく湿った月に多いことが一般に認識されている、と述べています。気象庁の平年値では千葉の月平均湿度は1月が53%、7月は78%です。
獣医から診断名を言われずシャンプーだけ渡されたのはなぜですか?
マラセチアは健康な犬の皮膚にもいる常在菌で、数が部位ごとに違うため「いる/いない」だけでは診断が決まりません。世界獣医皮膚科学会(WAVD)の臨床コンセンサスガイドラインは、その病変にマラセチアが関与しているかを確かめるには試験的治療が必要だ、と明記しています。診断名が出ないのは手抜きではなく、順番として妥当です。
薬用シャンプーは何分置いて、効果が出るまでどれくらいかかりますか?
1回あたりの接触時間の目安は10分、効いたかどうかの判定には3〜4週間かかります。この二つは別の話です。米国 MALASEB のラベルは全身に泡立てて10分間の接触時間をとり完全にすすぐよう指示しており、泡立ててすぐ流すと有効成分が働く時間は残りません。世界獣医皮膚科学会(WAVD)は適切な外用治療への反応を3〜4週間かけて評価するとしています。茶々丸は獣医師の指示で毎日洗い、4日目に赤みが引きましたが、これは1頭の例です。用法は製品ごとに定められているため、添付文書と処方した獣医師の指示に従ってください。
どんなときに動物病院へ行くべきですか?
舐めるのが続く、赤みが引かない、分泌物や悪臭がある、排尿の回数が増えた、排尿時に痛がる、尿の色がおかしい、といった場合は受診してください。特に排尿の変化は尿路感染症を示すことがあり、皮膚のケアだけでは対処できません。適切な治療を3〜4週間続けても反応がない場合も、再評価が必要です。

出典・参考文献

  1. Biology, diagnosis and treatment of Malassezia dermatitis in dogs and cats: Clinical Consensus Guidelines of the World Association for Veterinary Dermatology(一般開業医向け要約)World Association for Veterinary Dermatology(要約: Patel A, WAVD Education Committee, 2023/原典: Bond R ほか, Vet Dermatol 2020;31(1):27-e4, doi:10.1111/vde.12809)
  2. Malassezia Yeasts in Veterinary Dermatology: An Updated OverviewFrontiers in Cellular and Infection Microbiology(Guillot & Bond, 2020;10:79)
  3. Canine atopic dermatitis: detailed guidelines for diagnosis and allergen identificationBMC Veterinary Research(Hensel P ほか, 2015;11:196、ICADA)
  4. Recessed VulvaVCA Animal Hospitals
  5. Vaginitis in Small AnimalsMerck Veterinary Manual
  6. 千葉(千葉県)平年値(年・月ごとの値)気象庁
  7. MALASEB- chlorhexidine gluconate and miconazole nitrate shampoo(製品ラベル)DailyMed(U.S. National Library of Medicine)
  8. マラセブ & マラセブ ライト(動物用医薬品)キリカン洋行(inu care time)

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SiPPO Friends 編集部

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